◆ 音程
突然ですが、音程は全てアルファベットで表します。
それぞれ、以下の通りです。
以下、「音程」とあれば、このアルファベットのことを指します。
◆ 音符
各音符は次のように書きます。(ひとまず簡単なもののみ紹介しています。)
全音符 | \wh{音程} | |
2分音符 | \hu{音程} \hl{音程} | |
4分音符 | \qu{音程} \ql{音程} | |
8分音符 | \cu{音程} \cl{音程} | |
16分音符 | \ccu{音程} \ccl{音程} | |
つまり「u」だと上に棒(旗)が、「l」だと下に棒(旗)が付きます。
「u」や「l」の部分を「a」とすると、棒(旗)の方向が自動判定されるらしいです。
(「a」は使ったことがないので、よく知りません。)
付点の音符は、(普通の音符を書くときの)それぞれのコマンドの最後に「p」をつけるだけです。
付点2分音符 | \hup{音程} \hlp{音程} | |
付点4分音符 | \qup{音程} \qlp{音程} | |
付点8分音符 | \cup{音程} \clp{音程} | |
それぞれの最後に「pp」とすれば、二重付点となります。
\pt{音程}により、付点だけを出力することもできます。
◆ 連桁
連桁というらしい、旗がくっついた音符は、書き方がちょっと複雑です。
例を以下に示します。
| \ibu{0}{d}{0}\qb{0}{d}\qb{0}{d}\tbu{0}\qb{0}{d} |
| \ibbl{0}{j}{1}\qb{0}{j}\qb{0}{k}\qb{0}{l}\tbl{0}\qb{0}{m} |
次の音符から旗のくっつきが始まることを示すのが、これら。
\ibu{参照番号}{音程}{傾き} | 上に一本線 |
\ibl{参照番号}{音程}{傾き} | 下に一本線 |
\ibbu{参照番号}{音程}{傾き} | 上に二本線 |
\ibbl{参照番号}{音程}{傾き} | 下に二本線 |
次の音符で旗のくっつきが終わることを示すのが、これら。
\tbu{参照番号} | \ibu, \ibbuの終わり |
\tbl{参照番号} | \ibl, \ibblの終わり |
音符を書くには、
\qb{参照番号}{音程}を使います。
付点にするには、最後に「p」を書く(
\qbp{参照番号}{音程})だけ。
もっと複雑なのが、途中で線の数が変ってしまうこれら。
| \ibu{0}{e}{0}\qbp{0}{e}\tbbu{0}\tbu{0}\qb{0}{e} |
| \ibu{0}{e}{0}\qbp{0}{e}\tbbu{0}\qb{0}{e}\tbu{0}\qb{0}{e} |
途中で線の本数を増やすのが
\nbbu{参照番号}や
\nbbl{参照番号}です。
| \ibl{0}{l}{-1}\qb{0}{l}\nbbl{0}\qb{0}{m}\tbl{0}\qb{0}{l} |
\roff{x}を使えば、次のようにもできます。
| \ibbl{0}{o}{-1}\roff{\tbbl{0}}\qb{0}{p}\qb{0}{o}\tbbl{0}\tbl{0}\qb{0}{n} |
◆ 休符
各休符は次のように書きます。
全休符は
\pause ですが、小節の中央に描くには次のようにします。
\def\atnextbar{\znotes\centerpause\en}%
※後述の
\notes …
\enotesの間には入れません。
付点が欲しいときは、
\pt{音程}を使うしかないようです。
ということで、私は以下のように勝手に定義することにしました。休符の上げ下げには対応できませんが。
\def\dsp{\pt{h}\ds}
◆ 横の間隔
音符や休符の間隔を決めるのが、
\notes …
\enotes の書き方です。
… の部分に音符や休符を書きます。
\enotes は
\en と省略できるので、ここでは
\en を使います。
間隔の取り方はいろいろあるようですが、私は次の4つしか使っていません。
その方が書くときにわかりやすいからです。
\notes … \en | 16分音符, 16分休符 |
\Notes … \en | 8分音符, 8分休符 |
\NOtes … \en | 4分音符, 4分休符 |
\znotes … \en | (間隔なし) |
全てを知りたい方は、英語版ならば「Horizontal spacing commands」、
日本語版ならば「音符の横幅」とマニュアル内を検索してください。
◆ 小節線
小節の終わり、小節線は
\bar などを書きます。
\bar が改行許可、
\xbar は改行禁止、
\alaligne は強制改行です。
\bar などの前に
\setdoublebar と書くと、細い二重線にすることができます。
\setemptybar と書くと、小節線を出力しません。
◆ 簡単な例
私がMusiXTeXを使い始めたときに思ったのが、
楽譜の体裁を持つ超簡単な例が欲しい! ということです。
複雑なtexファイルはネット上にあるけれども、
初心者向けの簡単なtexファイルが(私の知る限り)ないのです。
――ということで、
>> ここに置いておきます。
>> これをPDFファイルにすると、
>> このようになります。
◆ 複数パート・複数段
複数パートや段の場合、下の方から音符などを書いて、「
& 」や「
| 」で区切ります。
各パートを区切るのが「
& 」です。
中括弧で括られるうちの(段の)区切りが「
| 」です。
エレクトーンで言えば、こんな感じ。
\notes …(ペダル)…
& …(左手)…
| …(右手)…
\en
◆ 臨時記号(半音)
各臨時記号は次のコマンドで描けます。
シャープ | \sh{音程} or ^ |
フラット | \fl{音程} or _ |
ナチュラル | \na{音程} or = |
ダブルシャープ | \dsh{音程} or > |
ダブルフラット | \dfl{音程} or < |
実例としては、以下。
| \qu{^f} or \sh{f}\qu{f} |
和音などで記号が重なってしまうときは、普通の臨時記号の前に「
l 」を加えることで、記号を左に寄せることができます。
\lsh{音程} 、
\lfl{音程} 、
\lna{音程} 、
\ldsh{音程} 、
\ldfl{音程} です。
記号を音符の上に出力するには、普通の臨時記号の前に「
upper 」を加えます。
\uppersh{音程} 、
\upperfl{音程} 、
\upperna{音程} です。
括弧付き記号にするには、普通の臨時記号の前に「
c 」を加えます。
\csh{音程} 、
\cfl{音程} 、
\cna{音程} です。
◆ 和音
和音は、幅がなく棒もないものを書いた後で棒があるものを書きます。
幅がなく棒もない音符たちは以下。
\zw{音程} | 全音符 |
\lw{音程} | 左にずれた全音符 |
\rw{音程} | 右にずれた全音符 |
\zh{音程} | 白玉 |
\lh{音程} | 左にずれた白玉 |
\rh{音程} | 右にずれた白玉 |
\zq{音程} | 黒玉 |
\lq{音程} | 左にずれた黒玉 |
\rq{音程} | 右にずれた黒玉 |
つまり、和音は次のように書きます。
| \zq{N}\zq{c}\ql{e} or \zq{Nc}\ql{e} |
| \zw{^M}\lw{c}\wh{d} |
和音で付点音符をずらしたときなどは、コマンドの最後に「p」を書いてしまうと出力位置が変になるので、
\pt{音程}コマンドにより、付点だけを出力します。
| \pt{N}\lq{N}\zqp{a}\qlp{d} |
和音の連桁なら、連桁の参照番号(
\zqb{参照番号}{音程})も使います。
| \ibl{0}{k}{1}\zqb{0}{k}\qb{0}{n}\tbl{0}\zqb{0}{m}\qb{0}{p} |
連桁で音符をずらしたものはないので、私は勝手に定義してます。
(定義することに意味はありません。texファイルを見たときにきれいなだけです。私にとってはそれが重要なのだけれど。)
\def\rqb#1#2{\rq{#2}}%rqbと
\def\lqb#1#2{\lq{#2}}%lqbを勝手に定義
「和音」と言うのでしょうか、幅がある普通の音符(\qu{音程}など)の頭に「z」を付ければ、次のようにも出力できます。
| \zhlp{g}\hup{l} |
◆ 休符の上げ下げ
休符を上に移動させたい場合は、次のように
\raise を使います。
休符を下に移動させたい場合は、値を負の数にすればいいだけです。
| \zw{L}\raise3\Interligne\ds\zq{a}\cl{c}\raise3\Interligne\ds\zq{a}\cl{c} |
※
\Interligne は譜線間隔の値です。
\Interligne の前の数字を大きくすると、間隔が大きくなります。
全休符と半休符は特別に、
\liftpause{高さ} や
\lifthpause{高さ} を使います。
◆ 3連符
\uptrio{音程}{長さ}{角度}で、音符の上方に「括弧」と「3」を書くことができます。
| \uptrio{s}{2}{0}\ql{o}\ql{o}\ql{o} |
| \uptrio{o}{2}{6}\ql{k}\ql{l}\ql{m} |
\triolet{音程}で、音程の高さに「3」とだけ書くこともできます。
連桁の場合は、
\butext{参照番号}、
\bltext{参照番号}を使います。
◆ 装飾音符
装飾音符を表示するために、
まずは
\smallnotesizeで音符の大きさを小さくし、
\multnoteskip{\tinyvalue}で間隔を小さくします。
装飾音符を書き終えたら、
\normalnotesizeで音符の大きさを元に戻し、
\multnoteskip{1}で間隔を元に戻します。
.....(前略)
\notes\smallnotesize\multnoteskip{\tinyvalue}% -small size-
\ibbu{0}{g}{1}\qb{0}{g}\tbu{0}\qb{0}{h}%
\normalnotesize\multnoteskip{1}\en% -normal size-
\Notes\cu{i}\en%
.....(後略)
※パートに分かれている場合は、
\smallnotesize の外に「
& 」や「
| 」を書いてください。
.....(前略)
\notes&|\smallnotesize\multnoteskip{\tinyvalue}% -small size-
.....(後略)
◆ 括弧付音符
\lpar{音程}、
\rpar{音程}で、括弧を書くことができます。
| \zwh{h}\lpar{o}\rpar{o}\wh{o} |