† 楽譜体裁準備

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◆ 楽譜体裁

突然ですが、MusiXTeXは楽譜を作るためのものではありません。
レポートの中に五線譜が欲しいときに使うものらしいです。

ここでは、そんなMusiXTeXで楽譜の体裁を作る方法を紹介します。

◆ ファイル名

早速、簡単な楽譜(texファイル)を作り始めましょう。
ファイル名は「なんとか.tex」にしてください。「なんとか」は何でも構いませんが、コマンドプロンプトを使う以上、半角英数がよいかと思います。
――が、楽譜の数が多くなってきたりすると、曲名そのままのファイル名が使いたくなると思います。日本語のタイトルだったり、半角スペースが必要だったり。
そんなときは、makefile において、ダブルクォーテーション("")でファイル名を囲めば大丈夫。エラーなく、どんなファイル名でもコンパイルできると思います。

さて、以降の説明についてですが……。TeX版とLaTeX版に分かれています。
「TeXなんてさっぱり知らない。楽譜さえ書ければ良い」という方は、「TeX版」と書いてあるところを読んでください。
「TeXはわかるし、楽譜以外のところでいろいろカスタマイズしたい」という方は、「LaTeX版」を見ると良いかもしれません。(って、そんな人はここの記事見てないかもね……。)

◆ 先頭と末尾 (TeX版)

さて、「なんとか.tex」の中身ですが。
最初はインストールしたmusixtexをinputします.
最後の\endはそういうもんです.
\input musixtex
%%% end %
\end
※「%」から始まる行はコメントなので、気にしないでください。(あってもなくても問題なし。)

◆ 先頭と末尾 (LaTeX版)

LaTeXの場合は以下。
\documentclass[a4paper]{jsarticle}
\input{musixtex}
%%% end %
\end{document}

LaTeX版の人に注意してほしいのが、コンパイルのコマンド。「ptex」ではなく「platex」なので、お忘れなきよう。

◆ タイトル出力 (TeX版)

TeXの場合、musixstyをinputすると, タイトルなどが簡単に出力できます.
詳しくは、マニュアルで「musixsty」を調べてください。
\input musixtex
\input musixsty
%%% titile %
\fulltitle{XXX}      %上部中央に大きく表示されるタイトル
\subtitle{YYY}       %タイトルの下に表示されるサブタイトル
\othermention{AAA}   %タイトルの下、左側に表示される文字
\author{BBB}         %タイトルの下、右側に表示される文字
\maketitle           %文字を出力する
\shortauthor{PPP}    %各ページの下部に表示される文字
\shorttitle{QQQ}     %各ページの下部に表示される文字
...(後略)

上のように書くと、ページ上部は次のようになります。


ページ上部は次のようになります。


先ほどは英語タイトルだったので、今度は日本語タイトルにしたいと思います。


……なんだか、日本語のタイトルが小さい。
気にしない人は気にしない! でいいと思います。
ただ、日本語と英語が混じっていると、こんな風になってしまいます。


これは、日本語のフォントを拡張しなければなりません。
V 日本語フォントの拡張 (TeX版)

◆ 日本語フォントの拡張 (TeX版)

大きな日本語の文字が使いたい! ということで, こちら.
>> MusiXTeXによる楽譜の組版
musixjfn-20080801.tar.gz をダウンロードします.
解凍して, musixjfn.texをmusixtex.texと同じ場所(私のWin7ならC:\Users\(usr)\W32TeX\share\texmf\tex\generic\musixtex)に置きます。
コマンドプロンプトで「texhash」を忘れずに。
あとは該当するtexファイル内で、musixtex.texを読み込んだ(\input musixtexの)後, \input musixjfn とするだけ.

(W32TeXにはあるようなので、該当しなければ飛ばしてください。)
JISフォントメトリックがない場合は, こちら.
>> The publishing TeX (sources)
jis.tar.gzをダウンロードして, 解凍します.
#cp ./jis.map $TEXMF/dvips/config/
#cp -r ./tfm/* $TEXMF/fonts/tfm/
#cp vf/* $TEXMF/fonts/vf/
#mktexlsr

しかしこれだけでは日本語タイトルが大きくならないので(なぜだ),
大きなフォントを使うのだ、と明示してやります。
\input musixtex
\input musixsty
\input musixjfn
%%% titile %
\fulltitle{\BIGtype{あああ XXX}}
\subtitle{いいい YYY}
.....(後略)

これで、次のようになりました。


無事、大きなサイズで和文と英文を釣り合わせることができました。

◆ 楽譜スタイル (LaTeX版)

TeX版だと「musixsty」なんて便利なものがあるのですが、LaTeX版にはありません。(もしかするとあるのかもしれないですが、私は知りません。)
「jsarticle」そのままでは全く楽譜らしさがないので、スタイルをいじってやります。正直、スタイルいじるのには慣れていないので、間違っている可能性大です。これをそのまま使って変になっても保証しないので、ご了承ください。
以下の内容を「my_musixtex_style.tex」として保存。
%---- 余白(横)の設定 ---
\setlength{\oddsidemargin}{10mm}%    %奇数頁 左余白 10mm
\addtolength{\oddsidemargin}{-1in}%  %奇数頁 標準余白=1inch
\setlength{\evensidemargin}{10mm}%   %偶数頁 左余白 10mm
\addtolength{\evensidemargin}{-1in}% %偶数頁 標準余白=1inch
\setlength{\textwidth}{185mm}%       %本文長 210-(10+15) = 185
%---- ヘッダ/フッタの設定 ---
\pagestyle{plain}% %フッタの表示
\setlength{\headheight}{0mm}% %ヘッダの幅
\setlength{\headsep}{0mm}%    %ヘッダと本文の間の幅
\setlength{\footskip}{0mm}%   %本文とフッタの間の幅
%---- 余白(縦)の設定 ---
\setlength{\topmargin}{5mm}%   %上マージン 5mm
\addtolength{\topmargin}{-1in}% %標準マージン(1inch)を引く
\setlength{\textheight}{287mm}% %本文の長さ 297-(5+5)= 287
%---- フッタの設定 ---
\makeatletter
\newcommand{\foottitle}[1]{\def\@foottitle{#1} \ps@plainfoot}
\def\ps@plainfoot{%
  \let\@mkboth\@gobbletwo
  \let\@oddhead\@empty
  \def\@oddfoot{\normalfont \@foottitle \hfil \thepage}%
  \let\@evenhead\@empty
  \let\@evenfoot\@oddfoot}
\makeatother
%---- タイトル ---
\makeatletter
\def\@maketitle{%
  \begin{center}%
    {\LARGE \bf \@title \par}%
    {\large \@subtitle \par}%
  \end{center}%
  {\large \hfill \@date}
  \par \vskip 1em
}
\newcommand{\subtitle}[1]{\def\@subtitle{#1}}
\makeatother

\parindent = 0pt%字下げなし

◆ 楽譜スタイルの使い方 (LaTeX版)

上の記事で作った「my_musixtex_style.tex」を使ってタイトルを出力します。
\documentclass[a4paper]{jsarticle}
\input{musixtex}
\input{my_musixtex_style.tex}
%---- タイトル ---
\title{タイトル}
\subtitle{サブタイトル}
\foottitle{フッタタイトル}
\date{日付(「\today」で今日の日付)}
\begin{document}
\maketitle
.....(後略)
私は作曲者欄に用事がないので作っていません。
欲しい人は「\author」周りをいじってください。

◆ 楽譜のサイズ

以降の記事は、TeX版もLaTeX版も共通です。

楽譜のサイズを変更することができます。
\smallmusicsize16pt
\normalmusicsize20pt(デフォルト)
\largemusicsize24pt
\Largemusicsize29pt

◆ 初期設定

楽譜を書くための初期設定はこんな感じ.

.....(前略)
%%% def %
\def\nbinstruments{1}%   % パート数 1
\setclef{1}{0000}%       % ト音記号
\generalsignature{-3}%   % 調号は負の値のときフラットの数
\generalmeter{\meterC}%  % 拍子はC(4分の4拍子)
.....(後略)

エレクトーン弾きの私は, だいたい以下のようになっています.

.....(前略)
%%% def %
\def\nbinstruments{2}%   % パート数 2
\setstaffs{2}{2}%        % 下から2番目は2段
\setclef{1}{6000}%       % 下から1番目はへ音記号
\setclef{2}{6000}%       % 下から2番目はへ音とト音記号
\generalsignature{0}%    % 調号は正の値のときシャープの数
\generalmeter{\meterfrac{6}{8}}%  % 拍子は8分の6拍子
.....(後略)

詳細は、次の記事を見てください。

◆ 初期設定の詳細

\generalsignature{x}x で、シャープやフラットの数を示します。
正の値がシャープの数、負の値がフラットの数になります。

\generalmeter{x}x は、
\meterC とすると C(4分の4拍子) 、
\allabreve とすると Cの縦棒(2分の2拍子) 、
\meterfrac{A}{B} とすると B分のA拍子 になります。

また \nobarnumbers を書くと、小節番号の表示を消すことができます。
\systemnumbers を書くと、行頭にだけ小節番号を表示することができます。

\sepbarrules と書くと、パート毎に独立した線が引かれるようになります。

◆ 開始・終了宣言

本体を書き始める前に, \startmuflex\startpiece と書き,
本体を書き終わった後は, \endpiece\endmuflex と書きます.
\endpiece\Endpiece とすると, 太い二重線で終わります.
.....(前略)
%%% start %
\startmuflex
\startpiece
.....(中略)
\Endpiece % 太い二重線で終える
\endmuflex
%%% end %
.....(後略)

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